2019-04-07

ロミーナ ROMINA


2018年制作のメキシコ映画。「13日の金曜日」に似た雰囲気を再現したスプラッタホラーで、低予算ながら1980年代のホラー好きなら観て損はない作品だ。

ストーリー
ラモン、アルトゥーロ、ビクトル、ディエゴの男4人とヒメナ、セリアの女2人、計6人の若者が自動車1台に乗ってクリスタル湖へキャンプへ向かう。ラモンとセリア、ディエゴとヒメナは恋人同士だ。

ディエゴが女友達のロミーナを誘おうと提案するが他のメンバーは反対する。彼女はどうも仲間から疎まれているらしい。結局ディエゴが携帯で連絡をしてもロミーナは出なかった。実は彼女は先回りしてキャンプ場で待ち構えていたのだ。

キャンプ場にはスケベそうな管理人のオジサンがいて管理小屋もある。使用料を払って早速湖の側でガヤガヤとテントを設置する6人。ビクトルが1人で薪を拾いに行くと湖の対岸にロミーナがいて何故か全裸で湖に入り泳ぎ始める。

ビクトルは彼を探しに来たラモンと一緒に覗き見をするがロミーナに気付かれ一旦退散する。やがて日が沈みキャンプファイヤーで盛り上がる彼らの前にロミーナが一瞬姿を見せる。誰かがいると騒ぐセリアに根負けし皆で手分けして森を探す事に。

1人で火の側に残ったビクトルは意味ありげな仕草で木陰に佇むロミーナに誘われ彼女のテントに向かう。そしてまたしても彼を探しに来たラモンと合流し2人でテントに押し入って彼女を陵辱してしまう。

翌朝、自動車が壊されていることに気付いた皆はパニックに陥り、殺人鬼がいると主張するラモンに従い手分けをして助けを呼ぶことに。前夜と同じく1人残ったビクトルは再びロミーナに誘惑されてノコノコ付いて行き足を折られて木に縛られる。

皆がバラバラになり単独行動を取り始めるタイミングを見計らって、ロミーナは獲物を縛り殺害していく。ビクトルは木に縛られたまま撲殺され、アルトゥーロも木に縛られて目を抉られる。セリアは後ろ手に縛られて局部に割れた瓶を突っ込まれ目を抉られた。

何故か管理人も局部を噛み千切られて犠牲になり、湖でヒメナは撲殺、ディエゴは溺死で見事にロミーナの皆殺し計画は達成されたかに見えた。しかし、彼女は操り人形に過ぎず黒幕は別に存在したのだ。

ロミーナに手足を縛られたラモンはこの黒幕の手で頭部を巨岩で粉砕される。ラモンの血を全身に浴びて歓喜の表情を浮かべるロミーナだった。

レビュー
この作品の舞台がクリスタルレイク湖ということから単純に「13日の金曜日」へのオマージュだと捉えるのはストーリー的に微妙な感じがするが、1980年代のスプラッタホラーの雰囲気は十分に映像から伝わって来る。

手持ちカメラの流し撮り風なラフな描写と細かくカットを割り計算された描写が混在していて面白いと思う。カットの繋ぎ目にも工夫が見られるし、森や湖の風景・水鳥の姿などを綺麗に収めてあるのも良い。ただ少し教科書通りという感じがしなくもない。

さてストーリーだが、なぜロミーナが7人(本当は6人)を計画的に殺害する必要があったのか、その動機がはっきりとしない。湖までの道中若者達の下らない会話の中からセリアとビクトルが特に彼女を嫌っていることは分かった。

であれば以前から何らかの火種はあった訳で、そのエピソードを入れた方が良かったと思う。黒幕も含めた恋愛上の揉め事や一番酷い殺られ方をしたラモンが絡んだストーリーがあって然るべきだろう。尺は74分なので15分程度追加しても問題は無いはずだ。

あと疑問に思ったのがロミーナがビクトルとラモンに陵辱された際明らかに抵抗していたのは何故か。これは単純に考えてラモンが付いて来たのは計算外だったということだろうか。2対1では分が悪いのでその場は耐え翌日仕切り直してビクトルを仕留めたと。

それから管理人は何故殺された?。これは殺人鬼の仕業に見せるためのカモフラージュと考えたのだが、局部を噛み千切ると警察は女の犯行を疑うだろう。黒幕は以前ここに来たことがあるらしくその時ロミーナもいて管理人に性的嫌がらせを受けたとか・・・。

残酷描写についてはかなり強烈でグロい。しかし特殊メイクの技術以前に費用面での制約があって完成度の高いものはできなかったと思われる。目を抉った死体はダミーかCGを使った方が良いと思うが役者にメイクだけなのでリアルさには欠けていた。

低予算のうえ発展途上の監督や脚本家による作品だとしても、その感性の煌めきみたいなものを一瞬感じ取れたような気がする。評価は低いようだが1980年代に雨後の筍のように湧いてきたごみスプラッター映画に比べたら佳作の部類に入るのではないか。