2019-08-11

スウィッチ


2011年制作のフランス映画。自宅交換サイトを利用した女性が殺人犯に仕立てられるサスペンス。ヒロインの魅力とスピーディな展開で最後まで飽きさせない佳作だ。

ストーリー
モントリオールに住むソフィはデザイン関係の仕事をしている。ある日広告代理店のクレールから自宅交換サイト「Switch.com」を紹介される。このサイトに登録すれば短期間の自宅交換ができて旅行する際に便利だと言う。仕事に行き詰まっていたソフィは気分転換にパリへ旅行したいと考え自宅交換を利用することにする。

サイトを見るとパリに理想的な物件があり早速持ち主のベネディクトと言う女性とPCでやり取りをする。トントン拍子に話が決まり数日後に彼女から自宅の鍵が送られて来た。旅行の準備を整え意気揚々とパリへと旅立つソフィ。到着して物件を訪ねると高級なアパートメントで家具も高級品ばかりだし庭から間近にエッフェル塔が見える。

初日は市内見物を楽しみエッフェル塔を見ながら夕食を取ってから早々に床についた。翌朝目が覚めると何故か身体が異常に怠く気分が悪い。取り敢えずシャワーを浴びていると突然警官隊が扉を破って突入して来た。事情が分からないまま警察に連行され殺人課のフォルジェ警部からとんでもない事実を聞かされる。

ベネディクトのアパートメントの一室で男性の首無し死体が発見され凶器のナイフにはソフィの指紋が付いていた。またソフィがベネディクト本人である証拠=パスポートが見つかったと言うのだ。唖然とするソフィは自分の姓名・住所と自宅交換の件を伝えるが、警察が調べた結果サイトは存在せずモントリオールの自宅にはソフィと名乗る女性が居た。

死体の身元はベネディクトの恋人トマで最近彼女に殺すと脅迫されていたらしい。またベネディクトの経歴も分かる。統合失調症で精神病院に入院歴があり自殺未遂を繰り返していたこと、ドイツの極左団体でパスポート偽造や情報操作などの犯罪に加担していたこと、現在は無職だが父親から莫大な遺産を相続していたことなどが判明する。

ソフィは精神鑑定と血液検査を受けるため病院に移送される。不運にも血液検査の結果はベネディクトと同じAB型。自ら真相を究明するしか方法はないと腹を決めたソフィは歯を調べて貰うようフォルジェ警部に懇願する。そして歯科医の喉元に鋭利な歯科器具を押し付け、警部から拳銃とベネディクトの資料を奪い逃走する。

身の潔白を示すためソフィの厳しい戦いが今始まった。

レビュー
ストーリーに書いたのは映画の前半部分に当たる。中盤から終盤にかけては逃走しながらベネディクトの正体を探るソフィと必死で彼女を追いかける警察、特にフォルジェ警部との追いつ追われつのアクション描写がメインとなる。とにかく2人共走る、ひたすら走る。この辺りはリュック・ベッソン監督演出のアクション映画を彷彿とさせる。

アクションばかりだと直ぐに飽きてしまうが、フォルジェ警部が当初の思い込み捜査から離れ事実を見つめ直すプロセスを組み込んだ演出が上手い。実際に時間が経つにつれ新事実が明らかになって来る。例えばトマの死体に死後冷凍された形跡がある、ソフィの血液から麻酔成分が発見される、モントリオールでクレールの死体が発見されるなどだ。

またフォルジェ警部がベネディクトの母親アリスを訪ねるシーンで、芸術家である彼女の家でDNAをイメージした二重螺旋のオブジェを見た後、トイレに行くフリをしてアリスのヘアブラシに付着した毛髪を採取する。つまりDNA鑑定をすればソフィの証言の真偽が分かる訳だ。しかしこの鑑定結果が物語を思わぬ方向に転換させる。

あまり書くとネタバレになるが、単純に考えてベネディクトの顔とソフィの顔を比べれば直ぐ真相が分かりそうなものだ。しかしベネディクトのアパートメント近隣の住人も母親のアリスさえもソフィの写真を見てベネディクトに間違いないと言う。管理人は最初ベネディクトが整形をしたものと思い込んでいたのだが実は・・・。

さてソフィーは彼女の運動能力の高さ(やたらにスタミナがある)と拳銃で人を脅すことも辞さない度胸の良さ、そして何故か親切な雑貨屋のオヤジの助けもありスレスレの所で警察の追跡をかわして行く。モントリオールの自宅を訪ねた彼女の母親をベネディクトに殺される悲運に見舞われながら折れない精神力も凄い。

そのソフィーを演じるのはカナダ出身のカリーヌ・ヴァナッスと言う女優さんだ。この作品は彼女の魅力無しでは成り立たない。派手な顔立ちではなくナチュラルな雰囲気なので日本人好みではないだろうか。そしてトップレスだがヌードも披露しており美しいバストに感動して作品の評価がドンと上がったことは言うまでもない。

作品の範疇としてはサスペンス・アクションと言えば良いだろうか。確かにアクションシーンは多いがサスペンスとしても予想を超えたオチがある点など手抜きは無い。スピーディな演出に拘っているせいか若干説明不足だったり無理と思える設定もあるし、素っ気ない終わり方にもう少し余韻が欲しいが何とか許容範囲に収まっている。

何よりカリーヌ・ヴァナッス嬢の存在感が些末なことはどうでも良いと思わせてくれる佳作だった。