2015-07-12

THANATOMORPHOSE


2012年製作のカナダ映画。北米版輸入DVDのため字幕はないがストーリーは英語が分からなくても全く問題ない程シンプルだ。

ストーリー
アパートで一人暮らしの地味な女性。無気力で趣味は彫像を作ることくらい。彼女には男がいるのだがSEXだけが目的の粗暴な人間だ。アパートを舞台に怠惰で脱力感に満ちた日々がただ過ぎて行く。

何の前触れもなく彼女の身体に変化が現れる。肩の小さなあざをきっかけに爪が剥がれ頭髪が抜け皮膚がどす黒く変色し始める。しかし女は病院に行こうとせず剥がれた爪をバンドエイドで止めたり取れた指をビンに入れて保管したりするのだ。

女の日々はベッドに横たわるか腐敗を遅らせる為に氷を入れた風呂に浸かっているかのどちらかだ。それなのに何故かオナニーに耽ったり心配して訪れた男友達にフェラチオをしたりする。いったいこの女の精神はどうなっているのか・・・。

レビュー
時々幻覚のようにサケデリックで刺激的な映像が挿入される。それはウジが湧いた犬の死体だったり、生きながら解剖されたり棺桶に入る女の姿だ。激しい光の点滅や異常な色使いの狂気的な映像が女の精神を象徴しているかのようだ。

終盤の女の腐敗具合はすさまじく汚汁がしたたり皮膚はほぼ真っ黒で目は潰れている。もっとも目は女が自分の指で潰すのだが。いったいこの映画は何を語りたいのかという素朴な疑問もエンドロールが流れる頃には消え失せていた。

これだけ鑑賞後に不快感と無気力感に襲われる映画はそうそうあるものでは無いだろう。とても万人にはお勧めできないが凹むのを覚悟で観るのも一興かと思わせる怪作だ。