2015-08-23

ホーンテッド


2006年製作のスペイン・イギリス・ブルガリア合作映画。監督はスペイン人のナチョ・セルダだが映画の舞台は全編ロシアで幽霊屋敷物の傑作だ。

ストーリー
40年前イギリスに里子に出されて育ったマリーの元へ彼女の生地であるロシアの公証人から譲られる土地があるとの知らせが届く。マリーの母親は40年前に生後間も無いマリーと彼女の双子の兄を残して殺害されていた。

その謎を知る目的も兼ねてロシアの地に降り立った彼女は、既に廃屋となった生家で生後すぐに生き別れた双子の兄・ニコライと出会う。彼も公証人から自分の生い立ちを知らされこの地にやって来たと言うのだ。

二人が屋敷を訪れた夜から不可思議な現象が次々と起こり始める。まずマリーとニコライの生霊が現れ彼らに迫って来る。この地では「自分の生霊を見た物は必ず死ぬ」と言われており生霊は彼らが死ぬ時の悲惨な姿をしているのだ。

他にも彼らの父親が母親を暴行する幻覚を見たり、家具や食器が壊れるのではなく40年前の形に戻って行くポルターガイスト現象に遭遇したりする。奇しくも今日はマリーとニコライの40歳の誕生日だった。

40年前にできなかったある目的を達しようと屋敷に巣食う悪霊は最後の攻撃を仕掛けて来るのだが・・・。

レビュー
ヒロイン役はアナスタシア・ヒルと言う女優だが、40歳と言う設定にしてはかなり老けて見える。しかし作品が持つ雰囲気にはぴったりで逆にリアリティが増していた。

屋敷の内部は恐ろい程汚れ朽ち果て不気味な雰囲気を醸し出しているが、ロシアの大地や森林・湖など大自然の美しくも哀愁が漂う描写が素晴らしく好対照となっている。

ストーリー的には地味過ぎて面白みが足りないと感じるかも知れない。もしかしたらストレートで真面目な演出を心がけた結果陰鬱過ぎる作品になったのかも知れない。

しかし映像に注目するとこれ程素晴らしい作品を久々に鑑賞した感動で心が満たされている。ラストには捻りを効かせたオチもありトータル的には傑作と言って良いだろう。