2015-08-09

悪霊のはらわた


2012年製作のスウェーデン映画。「死霊のはらわた」のコピーながら意外にも真面目に作られたスプラッター・ホラー映画だ。

ストーリー
7人の若者達が週末を森の中のコテージで過ごすためにやって来る。しかしコテージの地下室には悪霊が棲んでいて憑依された若者は邪悪な存在に変身してしまう。

次々と悪霊に取り憑かれていく若者達だが、正気を保った者は生き残る為に仲間を惨殺するしか方法が無かった。そしておぞましい殺戮劇が始まるのだった。

レビュー
ストーリーは「死霊のはらわた」のコピーだが大きく異なるのはその演出方法で、サム・ライミ監督が随所にコメディの要素を散りばめていたのに対し、ソニー・ラグーナ監督は笑いなしの血みどろガチンコ勝負を最後まで押し切った点だ。

また、悪霊に乗り移られた若者はゾンビに近い姿となり彼らに噛まれたり体液を浴びると感染してしまう設定も異なる。悪霊化した人間を倒す方法は頭部を破壊するか首を切断するしかなくこれはもうゾンビと言って良いだろう。

特殊メイクはハイ・レベルでゾンビ化した人間の顔面や残酷シーンも充分な完成度だった。首を切断したり頭部をライフルで撃ち抜くグロ・シーンも多く満足のいく内容だ。サム・ライミ演出のようにやりすぎて笑える洒脱さはなく、不器用なまでのガチンコ演出なのでグロ描写には一種の悲壮感すら漂っている。

視聴したDVDの画質はさほど鮮明ではなく逆にフィルムっぽい色彩が80年代のホラー映画を髣髴とさせて良い雰囲気だった。主役のカップルを中心に登場人物もそれなりの個性があり、感情移入も自然に出来るので単なる血みどろ映画で終わらないストーリー性の高さにも好印象を持った。

一点マイナスなのはラストに悪霊が正体を表すシーン。ここは謎のまま終わらせた方が良かったと感じた。しかし、なかなかの快作なのでスプラッター・ホラーが好きでスウェーデン映画に興味のある人は観て損はないと思う。