2015-10-18

悪魔を見た


2010年製作の韓国映画。韓国映画のお家芸とも言えるサスペンス&バイオレンスの傑作だ。

ストーリー
婚約者を性的異常者に惨殺された国家情報院捜査官のスヒョンは犯人を自らの手で見つけ出し復讐する事を心に誓う。警察官だった婚約者の父親から警察が有力な容疑者として追跡している4人のリストを受け取り彼は一人ずつ順番に痛めつけて行く。

そして3人目の容疑者・ギョンチョルが犯人である証拠を見つけたスヒョンはギョンチョルをボコボコに痛めつける。彼は一気に殺害するのではなく犯人にGPS発信機のカプセルを飲ませて解放し、しばらく泳がせてから再度痛めつけると言う残酷な復讐を実行するのだ。

しかし知能犯でもあるギョンチョルに裏をかかれて追跡不能となり逆に婚約者の父親と妹を襲われ窮地に陥る。果たしてスヒョンはギョンチョルを再び捕らえ復讐を遂げる事ができるのか・・・。

レビュー
この作品は劇場公開時にR18+指定を受けている。犯人に陵辱され無残に殺害される女性の姿を生々しく描写し遺体をバラバラに解体するシーンや川底に沈む被害者の生首が水面に顔を見せるシーン、ギロチンによる斬首と転がる生首のシーン等残酷な表現が多いためR18+は当然と言えるだろう。単に映像的な過激さだけでは無く性的異常者の底知れぬ恐ろしさも背筋が寒くなる程のリアリティで描いている。

犯人役のチェ・ミンシクは迫真の演技で異常者になりきり「こんな人間がこの世に存在するのか!」と思う程強烈な印象を残している。女好きで残酷で相手を選ばず暴力的になり執念深くて攻撃力が高く頭も切れる。イ・ビョンホンのファンには申し訳ないが完全に主役を喰っている。最後は犯人にとって屈辱的な結末となるが主人公も復讐の過程で心に巣食った巨大な闇を抱えて生きて行く事になるだろう。

この作品は女性に対するサディスティックな描写や残酷シーン、そしてやたらと痛い暴力シーンが多いのでとても万人にはお勧めでない。しかし、あらゆる意味でここまで徹底した内容の作品は韓国映画でしか味わえないので、トラウマなっても責任は取れないが未見の人は一度鑑賞してみてはどうだろうか。