2015-11-08

イノセント・ガーデン


2013年日米公開のアメリカ/イギリス合作映画。韓国映画の傑作「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督作品だ。

ストーリー
父母と一緒に大邸宅で暮らす裕福な家庭の娘・インディア。彼女の18歳の誕生日に父親が交通事故で死亡する。父親の葬儀に永らく行方が分からなかったインディアの叔父・チャーリーが突如姿を現し、しばらくの間インディアと母親のエヴィとこの大邸宅で過ごす事になる。

チャーリーが現れて直ぐに古株の家政婦やインディアの大叔母が忽然と姿を消してしまう。インディアはチャーリーが怪しい人物であることに気付くのだが逆に彼女はその魅力に惹かれ始める。そしてインディアの目前で殺人が行われ彼女はついに内に秘めていた邪悪な資質を開花させる。

レビュー
パク・チャヌク監督作品ということで「オールド・ボーイ」のような過激な描写を期待していたが残念ながらこの作品は全く性格の異なる映画だった。エロチック・サスペンスと喧伝されてはいるものの目に見えるエロさはほとんど無く、もっと精神的な妄想を促すような表現が散りばめられている。

インディア役はミア・ワシコウスカ、エヴィ役はニコール・キッドマンが演じている。叔父のチャーリー役はマシュー・グード。彼は一見紳士だが妙に感情が欠落した独特の表情を見せる。特に顔の皮膚が蝋の様に無機質に見えて不気味な上にその神出鬼没さは人間離れしていて異様だ。

この作品に対する評価はミア・ワシコウスカが魅力的に見えるかどうかで分かれて来そうだ。その終始ふてくされたような表情をどう受け取るかだが残念ながら彼女に魅力を感じないまま終わってしまった。その代わりニコール・キッドマンの衰えを知らぬ若々しさに目が奪われだ感じだ。

しかし、インディアが殺人を目前で体験した後シャワーを浴びるシーンがあるのだが、最初ショックで嗚咽を漏らして泣いているのかと思いきや、実は殺人の瞬間を思い出しながら自慰に耽っていたというショキングな描写になっている。これは以降のストーリー展開に大きな影響を与える重要なシーンだと思うが彼女のその大胆な演技には正直びっくりした。

映像的にはセンスのあるカットを随所に取り入れ動ではなく静の落ち着いた描写が光っていた。脚本的にはインディアとエヴィのもどかしい行動の数々や、チャーリーに都合の良い展開がやたら多いなど突っ込み所が多くやや物足りない出来だった。

さて、観る人によって相当好みが分かれそうなこの作品だが、サスペンス映画としての完成度はあまり気にせず役者の演技や映像を楽しむ分には悪くない思う。ニコール・キッドマンの美しさ、特にテニス・ウェアを身に着けた時の艶っぽさなど別の角度からも楽しめる。