2015-12-20

ハネムーン


2014年製作のアメリカ映画。ジャンル分けに迷う新進女性監督リー・ジャニアックが監督した異色作だ。

ストーリー
ポールとビーの若い新婚夫婦はビーが幼い頃過ごした山奥のコテージをハネムーン先に選ぶ。コテージは森の中にあり目の前に湖が見える自然豊かな落ち着いた場所だ。

コテージに着いた翌日の夜中ビーが夢遊病者のように森に彷徨い出てしまいポールが探して連れ帰るという事件が起きる。

それ以降ビーの様子がいつもと微妙に違う事にポールは気付く。少しよそよそしくて何か上の空な感じ。そして良く観ると太ももの付け根あたりに何かに噛まれたような傷跡が付いているのだ。

続いて夜に森の中から明るい光がコテージの中に向けられ眠っているビーを照らす怪現象が起きる。何か異常な事態に巻き込まれている事を直感したポールはコテージを出ようとするのだがビーは頑として拒む。

そして怪現象とビーの変化に混乱するポールに予想を超える悲惨な結末が訪れる。

レビュー
この作品は怪現象や妻の異常行動の原因が何なのか最後まではっきりと明かされない。森から発する光や停電、妻の太ももの傷や股間からの大量出血など何者かの存在は確実なのだが、それがエイリアンなのか霊的なものなのか分からないのだ。

当然何者かの目的も想像するしかないので鑑賞後に相当なモヤモヤ感が残る。個人的にはどうもエイリアン臭いとにらんでいるが、ラストで光の中に姿を現す影が何なのか観た人が勝手に判断してください的な演出に唖然とするだろう。

しかしこの作品どうしようもない駄作かと言うとそうではない。何故なら新妻のビーを演じたローズ・レスリーが大変魅力的なためストーリーや演出の不満を帳消しにしてしまうからだ。

素朴でナチュラルな演技が素晴らしい女優さんでこの作品は彼女なしには語れないだろう。何者かに接触する前後で微妙に違うビーを上手く演じ分けているし今後の活躍が楽しみな女優の一人と言える。

一方新郎のポール役ハリー・トレッダウェイも妻を心から愛し心配する青年を好演している。男性なら愛する妻の変化に戸惑い苦悩する気持ちが良く分かると思うが観ていて彼に同情することしきりだった。彼の悲惨な最期は可哀想過ぎて泣けた。

ローズ・レスリーの魅力で押し切ったこの作品、彼女が好みなら鑑賞後の満足度が高いと思う。