2015-12-27

ロッジ LODGE


2014年製作のアメリカ映画。山奥のロッジで起きる謎の人間消失を描いたいわゆるシチュエーション・スリラーだ。

ストーリー
10人の若い男女のグループが3台の車に分乗して山奥のロッジに泊まりにやって来る。ロッジに到着した彼らが見たのは、管理人を含め複数の客が食事をしながら寛いでいる途中に急に姿を消してしまったような不思議な空間だった。

荷物や車は置きっぱなしで人っ子一人いない異様さに圧倒されながら若者達は手分けをして人の探索と周囲の状況の確認を始める。そして暖かい季節なのに近くの川が凍結していたり鳥や虫が全くいない異常現象に気付く。またロッジの部屋の鏡には「まばたき厳禁」と書きなぐられた謎の文字があった。

ロッジの周囲を探索中にいきなり彼らの内二人が行方不明になる。危険を感じた残りの8人は一旦ロッジに集まるが一人また一人と神隠しの様に仲間が姿を消して行く。車で脱出を試みた者は発車するなり運転席で姿を消し、究極の恐怖に耐えながらまばたきすら出来ない状況で彼らは自分が消える番を待つしかなかった。

レビュー
この作品も好みがはっきり分かれるストーリーだと思う。とにかくストーリーに理路整然とした流れとオチを求める方は観ない方が良いだろう。結論から言うとこの作品にオチは無いからだ。つまり人間消失の原因が何なのか全く触れる事無く映画が終わってしまうのだ。

ロッジ近くの川が凍結したり夜になって30度も気温が下がって雪が降り出すなど、何らかの異常現象がこの地域に発生しているのは確かなのだが、それが人間消失にどう関係しているのか分からない。その消失の仕方もさっき目の前にいた人間が一瞬目を反らした間に影も形も無くなるという超常的なものだ。

しかし映画が始まって10分足らずで謎の人間消失が始まりその不可解さと恐怖・緊張感は終盤まで持続する。神隠しの恐怖というのは本能に訴えるものがありそこに着目した演出は悪くないと思った。荒唐無稽な原因、例えばエイリアンの人間誘拐や政府の極秘研究による生物の分解を持ち出されても興ざめする。

また人間消失の演出には特殊効果やCGは一切使用していない。例えば開いた冷蔵庫の扉の陰に一瞬隠れた女性が扉を閉じたら居なくなっていたとか、バーのカウンターの向こう側でしゃがんだ男性がカウンター越しに覗き込んだら消えていたといった演出だ。跡形もなく一瞬で消える・・・まるでマジックのようだ。

演じる俳優達にもそれぞれ個性があって仲間割れ起こしたり銃を持って暴走するヤツが現れたりと人間ドラマ的にも手堅くまとめている感じ。女優ではリメイク版「デイ・オブ・ザ・デッド」のミーナ・スヴァーリが出ている。と言っても初っ端に消失してしまうのだが。

ラストの締めくくり方が予想通り過ぎてガッカリだったがスリラーとしての出来は決して悪くないので、オチは無くてもプロセスが良ければ楽しめるという人にはお勧めする。逆にオチが命の方は鑑賞後に怒り狂いDVDを放り投げる可能性があるので絶対観ない方が良いだろう。