2014年製作のアメリカ映画。原作はスティーヴン・キングの同名小説。ありがちな設定ながらキングらしい演出が随所に施されている佳作だ。
ストーリー
テスは「編み物クラブ」という老婦人が探偵役のミステリー小説が人気の女流ミステリー作家。ある日ラモーナという名の女性が主催する講演会に招待された彼女は、講演後ラモーナが教えてくれた近道を通って帰宅の途につく。
しかし人気の無い林道で車が釘の刺さった板を踏んでパンクしてしまい途方に暮れてしまう。そこに現れた大男のトラックドライバーがタイヤ交換を申し出てくれるのだが、この男はとんでもないレイプ魔でテスは散々レイプされた後近くの下水管に放置される。
彼女は大怪我を負いながら何とかコンビニに辿りつき電話でリムジンサービスを呼んで家に帰りついた。傷つき汚れた身体をシャワーで洗いながらテスは復讐を心に誓うのだった。また車は現場近くのライブハウスに放置されており無事引取ることができた。
まずテスは講演会の主催者ラモーナが怪しいと睨みネットで情報を収集する。すると彼女には息子がいて問題行動を起こしていたことが分かった。ラモーナと直接対決をすべく拳銃を携えて彼女の家に乗り込むテス。いよいよ復讐劇の幕が切って落とされた。
レビュー
この作品の特徴は復讐を決行するテスを彼女が生んだ幻覚(彼女の別人格?)が手助けする点だ。それは「編み物クラブ」の老婦人探偵ドリーンだったり愛車のカーナビ、トムだったりする。
具体的にはドリーンが要所要所で姿を現しテスに的確な助言をしたり、運転中にはトムが彼女の不安を払拭し背中を押す言葉を話すのだ。幻覚にハッキリしたキャラクターを与えたことでディテールにこだわるキングのテイストを表現するのに成功している。
復讐劇は割りとスムーズ(?)に進みテスは見事自分を辱めた大男の股間を拳銃でぶち抜き溜飲を下げる。このあたり淡々とし過ぎていて少し物足りない感じがした。サイコな大男の猛烈な逆襲をもっと観たかったのが正直な感想だ。
テス役はマリア・ベロ。公開当時47才だから完全な熟女だ。確かにアップになると年齢を感じるが知性のある素敵な女優さんだと思う。個人的にはデヴィッド・クローネンバーグ監督作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」での体当たり演技が印象的だった。
彼女は復讐を誓う芯の強さとミステリー作家らしく理路整然と判断を下すスマートさが混在した魅力的なキャラクターを上手く演じていると思った。と言っても演出では理路整然とした判断は幻覚の助っ人が下して進言しているのだが。
さてこの作品はお勧めか?と聞かれると答えが難しい。決して駄作ではないしありふれたストーリーをひねりを利かして巧みに料理している点は評価できると思う。あとは熟女好きかどうかで好みが別れる可能性が大きい。