2015-05-17

デス・ロード 染血


2007年製作のアメリカ映画。「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のエミリー・ブラントがヒロイン役で出演している心霊ホラーだ。

ストーリー
クリスマスを故郷で過ごすつもりの女子学生が大学の掲示板で見つけた「同乗者求む」の張り紙を見て初対面の男子学生の車に乗り帰省する事にする。

近道をしようと男子学生は本線から脇道に入るが対向してきた車と衝突しそうになり側道に乗り上げて車は動かなくなってしまう。エンジンが掛からず凍える寒さの中で夜を明かさねばならなくなった二人は恐ろしい体験をする事になるのだ。

車の外を歩く複数の謎の人影、突然現れた怪しい警官の不可解な言動、まるで現実のように生々しい幻覚と不思議なタイム・スリップ。急速に気力も体力も消耗していく二人はこの異空間から抜け出す事が出来るのか・・・。

レビュー
とにかく女子学生役の若きエミリー・ブラントが光り輝いている。演技力も確かで高飛車で勝気な性格のヒロインを生き生きと演じている。男子学生役はアシュトン・ホームズでTVシリーズの「ザ・パシフィック」で清々しい青年を好演していた。この作品でもその好印象は変わらずラストには感動の演技を観せてくれる。

舞台が極寒の車中という限られた空間で残酷描写は一切使わずひたすら不気味な心霊現象で畳み掛けてくるグレゴリー・ジェイコブス監督の手腕は見事。心霊現象の原因を作ったのは怪しい警官なのだがネタばれとなるのでこれ以上は話せない。しかし面白い着想でなかなか奥の深い心霊ホラーとなっているのは間違いない。

二人の学生が徐々に心を通わせていく展開も上手くラストの切なさを際立たせている。単なるホラーではなくラブ・ストーリーとして観ても完成度の高い隠れた傑作だと思った。センスのないジャケットに騙されずぜひ一度鑑賞してみて欲しい。