2016-12-03

ゾンビワールドへようこそ


2015年製作のアメリカ映画。「ゾンビランド」に匹敵する痛快で面白く心温まるゾンビ・コメディの大傑作だ。

ストーリー
ベン、カーター、オギーは顧問のロジャース隊長のもとで日々ボーイスカウトにいそしむちょっとダサい高校生1年の親友トリオ。しかし学校仲間から負け組と見られるのが嫌でベンとカーターはボーイスカウト命のオギーを裏切って脱退する相談をしていた。

そんなある日ベンとカーターは深夜にボーイスカウトのキャンプから抜け出して、ベンが密かに思いを寄せるカーターの姉ケンドルが参加する秘密パーティに合流しようとする。ところが車を出そうとした時にオギーに見つかり裏切り者と罵られて気まずい雰囲気になってしまう。

街に戻ったベンとカーターは人の姿が見えない異様な光景に驚きながら、これ幸いと忍び込んだストリップバーでゾンビ化したストリッパーに襲われる。運良くこの店のウェイトレス・デニースに助けられ2人は命拾いをするが外に出た彼らの前に大量のゾンビ軍団が立ち塞がる。

何とか警察署に逃げ込んだ3人は逆にゾンビに包囲されて留置場の檻の中へ退避する。そこに現れたオギーのおかげで檻からの脱出に成功しバイクで助けを求めに出発するデニーズを見送った後、ケンドルを助ける為3人が一致団結してパーティ会場に向かう事になった。

ゾンビに襲われ阿鼻叫喚の渦となっているパーティ会場に颯爽と現れたボーイスカウト3人衆は、ボーイスカウトで培った数々の知識や技を駆使してゾンビ達をなぎ倒して行く。しかし圧倒的な数のゾンビに追い詰められ3人は最後の手段として手製爆弾の点火を決意するのだが・・・。

レビュー
ストーリーに書いた内容はあらすじなのでこの作品の全容はとても表現できていない。実際はもっと密度の濃いストーリーが非常にスピーディに気持ち良く進んで行く。ゾンビ発生の理由も冒頭にさらっと説明されているし全体を通して説明不足と感じる部分は全く無かった。

とにかく3人の高校生が実に生き生きとしていてベンとカーターの裏切りにより傷ついたオギー、そしてオギーを傷つけ後悔するベンとカーターが、いかに元の信頼関係を取り戻して行くのかがある時はシリアスにまたある時は面白可笑しく描かれ大変好感が持てた。

また3人の高校のOBであるデニースが年上で頼もしくカッコいい女性として登場し彼らを助け励まして一皮剥けた男に成長する手助けをするのが大変印象的だ。演じるのはセーラ・デュモントという女優さんで長身の上スタイル抜群の美人だ。ほんとに惚れ惚れするカッコよさである。

それから青春コメディなら下ネタが出るのはお約束だがこの作品の下ネタはかなり強烈だ。特に中盤で出てくるチンコネタは今までのゾンビ映画には採用されたことがないものだろう。ゾンビの内臓をつかむのはあったがまさかチンコとは・・・もう死ぬほど笑った。

高校生くらいの年頃の男子ならとにかく女性の裸が見たいものだ。ベンやカーターからその思いがストレートに伝わって来て「この年頃の自分もそうだったなぁ。」と共感するシーンがあるとニヤニヤしてしまった。しかしいくら巨乳好きでもゾンビのオッパイは揉みたくない。

監督はクリストファー・ランドンという人だが彼のコメディ・センスは洗練されていて無駄がない。スローモーションを随所に取り入れ成功しているし間の取り方が上手くちょっとしたカットや長まわしが何とも言えない笑いを誘う。特にロジャース隊長を徹頭徹尾イジられキャラとして活躍させたセンスは拍手喝采ものだ。

今までゾンビ・コメディの最高峰は「ゾンビランド」だと思っていたが、彗星のように現れた「ゾンビワールドへようこそ」は「ゾンビランド」に並ぶNo.1タイとなってしまった。いつどんな傑作に巡り合えるか分からない・・・だから映画鑑賞はやめられないのだ。

追記:エンドクレジットのデザインも凝っていて素晴らしい。クレジットの合間に挟まれる可哀想なロジャース隊長の姿をお見逃し無く。