2015-03-14

夜明けのゾンビ


2011年製作のアメリカ映画。今ひとつセンスのない邦題だが大変に真面目に作られた感動作だ。

ストーリー
南北戦争終結後間もないアメリカ・テネシー州でゾンビが大量発生する。山奥で妻と息子と共に暮らすエドワードが2日振りに狩りから我が家へ戻ったところ、最愛の妻がゾンビ化していてやむなく射殺してしまう。

エドワードは行方不明の息子を探すため外へ出るが、ゾンビ化した息子に遭遇し彼は心が引き裂かれる思いで銃の引き金を引いた。いつか一緒に行こうと約束していた美しい滝のある場所へと息子の遺灰を持って旅立つ傷心のエドワード。

旅の途中でアイザックと名乗る男と出会い南軍の残党に捕らえられたアイザックの妹エマの救出に向かう。二人は無事にエマを取り戻すが残党達はゾンビに噛まれても感染しない免疫を持ったエマを取り戻すべく執拗に追って来る。

レビュー
物語はエドワードが書いた日記をナレーターが読んでいく形で進行する。刻々と変化するエドワードの心情はナレーションによって克明に伝わって来る。このナレーター役がブライアン・コックスでその渋い深みのある声が堪らない魅力だ。

基本的には人間ドラマと言える作品で詩的な情緒に訴えかける落ち着いた演出が特徴。ゾンビの射殺シーンは出てくるがそれ以上の残酷描写は無い。かえって自然の美しい描写の方が印象的で所々で挿入されるアニメーションも効果的だった。

過激なゾンビ・ホラーと思って観ると完全に肩透かしを食らうが先入観なしに観るとその質の高い人間ドラマに驚くだろう。ゾンビ映画の中では異色作だと思うがじんわりと泣けるお勧めの佳作だ。