2015-03-21

スペイン一家監禁事件


2010年製作のスペイン映画。ヨーロッパでは年間300万件もの押し入り強盗事件が発生している。この作品はそう言った背景を元に製作された問題作だ。

ストーリー
夫のハイメと妻のマルタ、そして18歳の娘イサは郊外の豪邸に引越してくる。引越した日の夜夕食の準備をしている最中に突如3人組の覆面強盗が家に押し入る。

彼らの目的は金品の強奪で1人がハイメを車で連れ出しATMで現金を引き出させている間2人がマルタとイサを家に監禁し見張っている。

しかし家に訪ねてきたイサのボーイフレンドに暴行を加え近所の通報で訪ねてきた警官を殺害するに及んで、女達を見張る強盗2人の間に諍いが生まれてくる。

そして事態は強盗たちや一家の予想もつかない方向に進んで行くのだが・・・。

レビュー
そもそも強盗たちがあまり用意周到ではなく想定外の出来事で慌てて行き当たりばったりの行動を取るのがお粗末だが、逆にリアリティがあると言えるかも知れない。彼らの暴行は半端ではなく後半はイサを陵辱したりやりたい放題だ。

ラストで一件落着かと思った瞬間に最悪の展開となり他に類を見ない後味の悪い結末を迎える。イサの既に正気を失いつつある絶望と苦悶の表情が鑑賞後もしばらく頭に残って嫌な気分引きずった。

監督のミゲル・アンヘラ・ヴィヴァスは撮影手法に2画面分割を取り入れハイメの状況とマルタ、イサの状況を同時進行で見せる面白い演出をしている。この演出は大変効果的で2画面が1画面に滑らかに繋がる部分には感心してしまった。

内容が相当ヘヴィーなので評価が分かれそうだがスペイン映画の凄さを改めて認識させられる傑作だと思う。