2015-01-21

サイレント・ウェイ


2012年製作のスペイン・コロンビア合作映画。スペイン映画には秀作が多いがこの作品も意外な展開の面白さと映像センスの良さが印象的な佳作だ。

ストーリー
プロダンサーを目指しているロサは普段ホテルで清掃の仕事をしている。ある夜彼女は仕事帰りに自宅アパート近くのコインランドリーへ立ち寄る。だがその頃近辺には女性を狙った連続殺人犯が出没していた。

また、自宅アパートにはロサの姉ローラも住んでいて、コインランドリーの出入り口からアパートの窓が見える。階は3、4階くらいだろうか。姉がキッチンに立っている姿が下から確認できる。

突如コインランドリーに黒服の怪しげな男が現れロサの前に立ち塞がる。その時運良く若い青年が入って来たので男は無言で立ち去った。彼女は青年を信用し打ち解けて自宅アパートの場所や姉の話などをする。

しかし彼の洗濯物に血の付いた女物の下着類があるのを見てしまったロサはこの男が殺人犯ではないかと疑い始める。

ロサは男がトイレに行くため外に出たスキに逃げようと試みるが、彼に意図を見破られてランドリーに籠城する羽目に。男は態度を豹変させて彼女が道に落としたバッグから家の鍵を見つけ、出て来ないとアパートを訪ねて姉を襲うと脅すのだ。

膠着状態が続く中ランドリーの前に突然中年の女が現れる。ロサは彼女に警察への連絡を頼みランドリーに入れるが、この女は男とグルでその正体はとんでもないものだった。

レビュー
ストーリーが終盤に差し掛かった時凄いひねりが加わるので正直面食らう。でもサスペンスと見せかけてモンスター系へ転じるのは面白い発想だと思う。映像的にも画面分割を上手く使い小技的に画像処理を取り混ぜるなど職人技が光る。特殊メイクにも手抜きがない。

またロサ役のアナ・デ・アルマスがオープニングにサイケなバック映像の前で踊りをたっぷり披露してくれる。彼女の魅力を十分理解した上で1960年代風の映像と音楽を組み合わせたアントニオ・トラショラス監督のセンスには脱帽した。

ただしストーリー展開では若干納得できない部分もある。コインランドリーに最初現れた黒服の男が何故かラストでロサを助け戦うのだが、この男の正体が分からない。このラスト約10分の演出がややゴタゴタして分かりにくいのが気になった。

この作品は映像や音楽のセンスは素晴らしいが万人受けするタイプの映画ではないと思う。しかし個人的にはアナ・デ・アルマスが魅力的過ぎて、オープニングのダンスで完全にノックアウトされたので彼女が好みなら最後まで観ても大丈夫だろう。