2015-01-25

パラサイト・クリーチャーズ


2013年製作のオーストリア映画。地球上で突如生まれた謎の生命体が生物に寄生するSFホラーだ。

ストーリー
舞台はアルプス山脈の気象観測基地。技師のヤネクと研究員は観測機器の修理に山頂近くの観測所へ向かう。そこで彼らが見たのは不気味に紅く染まった氷河だった。

彼らは標本を持ち帰り調べた結果生命体の存在とその特異な性質を知る。地球温暖化の影響でどんどん溶けていく氷河は生命体を水と一緒に山裾に押し流す。

その過程で異形な生物が次々と産まれていき人間に襲い掛かる。

レビュー
この生命体は寄生した生物のDNAだけでなく胃の中にある生物のDNAをも取り込んで異種交配させ自らの細胞を母体として新生物を誕生させる。つまり野生のキツネに寄生して餌として食べた昆虫と混ぜ合わせ昆虫の顎が生えたキツネを生み出すという具合だ。

この作品、着想は素晴らしいが無駄な演出が多くテンポが悪いのが致命的な欠点だ。登場人物も観測基地を視察に来る大臣一行が加わる事で話がますます散漫になっていく。ここは観測基地の人間だけに登場人物を絞った方が良かった。

異形のクリーチャーはCGを使用せず特殊メイクで造形している。低予算の割りにまずまずの完成度なので評価したいのだが暗い場面では姿が分かりにくく出番が少ない。唯一の見所を無駄にしてしまい勿体無いと思った。

ラストも曖昧な結末のまま放り投げてハイ終わりと言った印象でがっかりした。せっかくの面白い着想を生かしきれなかった監督の手腕に不満が残る残念な作品だった。