2015-01-21

恐怖ノ黒電話


2011年製作のイギリス映画。奇抜な設定が面白く人間の狂気は本当に怖いものだと実感させられるなかなかの佳作だ。

ストーリー
夫と離婚して1人暮らしを始めたメアリー。引越したアパートにはなぜか古いダイヤル式の黒電話が1台ポツンと残されていた。

引越したその日に取り乱した女の声で電話が掛かってくる。その部屋に自分の男がいる筈だと泣きながら話すダミ声の女を離婚したばかりのメアリーは可哀想と思い励ましてしまった。

実はこの電話は現在ではなく20数年前の過去から掛かって来ていた。本来なら男に捨てられたこの日に自殺する筈だった女はメアリーが励ましたせいで定められた死を回避してしまう。

この女は翌日からストーカーのように毎日メアリーに電話して来るようになる。その執拗さに怒った彼女に対し逆上した女は次々とメアリーの周りにいる人間を探し出し殺して行く。

そしてついにその魔手は20数年前のメアリーに届こうとしていた。

レビュー
メアリーは何も知らずに過去を変えると言うとんでもない事をしてしまった訳だが、その結果彼女の周りの人間が次々に消されて行く理不尽な仕打ちを受けることになる。

過去に殺されると本来生きているはずの人の歴史そのものが無くなる訳で、昨日までいた隣人・恋人が今日は姿どころか生きていた痕跡も無くなるのは想像を絶する恐怖だ。

例えば隣人の中年男が消された結果見たことも無い人間がその部屋に住んでいたり、新しい恋人が消された結果彼の家を尋ねると両親が息子は子供の頃行方不明になったと言う。

最後にメアリーと狂気に取り付かれた女との対決は意外な形で決着が着くが、この狂女の執拗さには心底肝が冷えた。幼いメアリーまで探し出し殺そうとする執念は何処から来るのか。

狂った人間の執念ほど恐ろしい物は無いと痛感させられる作品だった。