2015-02-11

ロスト・ボディ


2012年製作のスペイン映画。スペイン映画には秀作が多いがこの作品は飛び抜けて完成度の高い傑作サスペンスだ。

ストーリー
製薬会社のオーナーで大富豪の女性マイカが心臓発作で死亡するのだが遺体安置所から彼女の遺体が忽然と姿を消してしまう。警察が捜査を開始しマイカの夫であるアレックスが遺体安置所に呼び出される。

捜査の指揮を執るハイメ警部は夫の態度に不自然さを感じ彼が本件の重要容疑者である事を確信する。実際にアレックスには愛人がいて愛人と一緒になる為心臓発作を引き起こす毒薬でマイカを殺害していたのだ。

そして遺体安置所内ではマイカが生きているとしか思えないような不可解な出来事が次々に起き始める。それはまるで夫の裏切りを知り復讐を誓ったマイカのメッセージのように見える。

妻の復讐の矛先が自分の愛人にも向いている事を悟ったアレックスは警察の監視下で身動きできない状態の中どんどん精神的に追い詰められていく。

レビュー
夫の妻殺しを暴露してしまったがこの事実はストーリー上極めて小さなピースに過ぎない。マイカは本当に生きているのか、誰かがマイカは生きていると思わせているのか。この緊張感あふれるストーリー展開が中盤以降の大きな見所だ。

またこの作品の凄いところは終盤になって予想を遥かに超える驚きの展開を見せる点だ。ある人物の隠された秘密が突如明らかになりその秘密が一連の不可解な出来事を演出した動機でもあった事が分かるのだ。

注意深く観ていると伏線がさりげなく散りばめられている事に気付く。それらの伏線の回収の仕方も見事だしラストシーンのカタルシスには快感すら覚えた。完成度の高い推理小説を読み終えた時のような満足感が得られる傑作だ。