2013年製作のイギリス映画。タイトルとパッケージ写真を見るとパニック映画を想像してしまうが完成度の高いサスペンスドラマだ。
ストーリー
医師のルイスは息子のマックスとロンドンから郊外へと向かう深夜列車に乗っていた。ルイスは妻を亡くし息子と二人暮らしのシングルファーザー。たまたま隣の席に乗り合わせた美人女性サラと意気投合する。
ロンドンを遠ざかるにつれて乗客は次々と降車して列車はガランとしていく。ルイスはついウトウトしてしまうのだがふと目覚めると列車は停車駅に止まることなく謎の暴走を始めている事に気付く。
犯人の動機や外見は全く分からずただ終着駅に高速で突っ込み派手に死のうと考えている自殺志願者らしいと推察されるだけだ。車掌は車内で殺害されており運転手もまた殺害されていた事が明らかになる。
果たしてルイス達は列車の暴走を止めて生還する事ができるのか・・・。
レビュー
列車が暴走を始めた時点で残った乗客は6人。ルイス親子とサラ、孫に会いに行く途中の老婦人、息子と険悪な関係の高慢な老紳士、道徳心のない元マジシャンの若者。
会話から乗客それぞれの人生が垣間見えてくるので自ずとストーリーに深みが生まれている。また乗客が列車の暴走を食い止めようと団結する過程で今までとは違う人生観に目覚め徐々に考え方が変わって行く心理描写が見事だった。
結局犯人の動機は分からずじまいでエンドロールとなってしまい何とも言えない物足りなさを感じたが、謎解きが全てではない良質な人間ドラマとして鑑賞すればこんな終わり方もありかなと思い直した。