2015-02-18

アリス・クリードの失踪


2009年製作のイギリス映画。登場人物は3人、舞台の殆どが密室と言う設定ながら緻密な脚本と見事な演出で見応えのある作品だ。

ストーリー
中年男とまだ20代と思われる若い男の二人組が山奥の小屋に荷物を運び込みその一室を監禁部屋に改装していく。そして資産家の娘アリスを誘拐しその監禁部屋のベッドに縛りつける。

若い男が娘の監視役で中年男が身代金を奪う交渉役という役割分担になっていて中年男は度々外出し交渉の合間に小屋へ帰って来る。

しかし順調に進むかと思われた身代金奪取計画は意外な人間関係と小さな綻びが原因で思わぬ方向へと転がって行く。

レビュー
中年男はいかにもプロと言った雰囲気の知能犯で若い男はいまひとつ頼りない若者だ。二人は刑務所で知り合った仲であることが会話から分かってくる。また誘拐されたアリスは意思の強い娘で部屋から脱出するため懸命に頭脳を回転させる。

中盤からは思いもしない3人の関係が明らかになっていき密室を舞台にした凄まじい心理戦が繰り広げられる。それはドロドロした愛憎入り乱れる人間ドラマでその緊張感は終盤まで途切れる事無く持続する。

そして予想を遥かに超える結末に観ている者は皆呆然とする事だろう。まさに練りに練った脚本の勝利で先を読ませない展開は見事の一言だ。アリス役のジェマ・アータートンの体当たり演技も素晴らしくサスペンス好きの人に勧めたい隠れた秀作だと思う。